大風呂敷を広げる。 |
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この表現は、現物の風呂敷と同様、だんだん使われなくなってきたが、「実際よりもおおげさにいう」、「ホラをふく」といった意味(「新潮国語辞典」より)。包むもののカサに比して、異常に大きな風呂敷をひろげたときの状態を指した、ちょっとユーモラスな慣用句だ。
「風呂敷」ということばは、江戸時代のはじめごろ銭湯の発達とともに庶民の間で一般化したようだ。 風呂に入るときには衣類を包んでおき、湯から上がったときには足をぬぐうのに用いたことからこう呼ばれた。 また火事の多かった江戸では、ふとんの下に大風呂敷を敷き、半鐘が鳴るとふとんをくるんで飛び出したという。 われわれもトートバッグのなかに一枚、この風呂敷をしのばせておくとなにかと重宝。昼夜で気温の変化が激しいときの、スカーフ代わりに。街を歩いていて、思わぬ買い物にであったときに。ワイン、日本酒などのびんものをしっかり包んで持ち歩くにも。その融通性はたいしたものだ。 便利なことに加えて、バーコード、チャイナカールといった意外性のあるデザインが、アクセントとして装いをひきたててくれる。 「革ヘン」に「包」と書いて「カバン」。では「糸ヘン」に「包」と書いて「ふろしき」と読むのはどうだろう。 世は省資源時代、もっと大風呂敷をひろげよう。__文:蟻田 善造 ARITA zenzo ARITA zenzo
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